11.5.31 北大植物園

06.2.20 東京ドーム


アツモリソウ (敦盛草)

 

 

ラン科アツモリソウ属

学名  Cypripedium macranthum var. speciosum

原産地 本州(中部以北)、北海道、南千島、アジア北東部〜ヨーロッパ東部

多年草


 日本では中部以北の冷涼な地域に生育するラン科の多年草。

名前は、膨らんだ唇弁の様子を源平合戦の時の武将、平敦盛の母衣に見立てての

ものである。ちなみにその平敦盛に対して源氏側の武将、熊谷直実の母衣に

見立てての花にクマガイソウがあり、両者が対比されて知られている。

両者とも日本のランの中では最大級の花を咲かせ、日本を代表する美しいランで

ある。しかし、その花の美しさがあだとなって、現在野生状態でこの花を見ることは

ほぼ不可能に近いものとなった。自生地が開発によって無くなりつつあることもある

が、園芸目的で盗掘の被害に遭うものも多い。保護区に指定されている場所もあるが

そこですら盗掘の被害が後を絶たないので、やむを得ぬ処置として花を摘んでしまう

所もあるという。園芸目的で盗掘される理由は美しさもあるが、冷涼な環境を好む

デリケートな植物なため、栽培管理が非常に難しいというところも要因としてある。

つまり数が増えないために、いつまでも高価な取引が続いているという状況なので

ある。この植物を守るためには、もちろん自生地の保護も必要であるだろうが、

加えて交配技術などを使って丈夫でよく繁殖する新しい形の品種の作成が必要なの

ではないだろうか。誰でも育てられ、この花の価値が落ちれば、わざわざ自生地から

盗み出すという行為は無くなるかもしれない。