08.1.11 筑波実験植物園


コリアンテス・マクランサ

 

 

別名 バケツラン

ラン科コリアンテス属

学名  Coryanthes macrantha

原産地 コロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、ブラジル

多年草


 南米の熱帯雨林の樹上に生育する着生ランの一種。非常に変わった花を

つけるランの1つである。通称は「バケツラン」で、唇弁がバケツ状に

なっており、そこに水が溜まる仕組みになっていることから名付けられて

いる。この水は本種が意図的に溜めているもので、唇弁の上部についている

蛇口のような部分から水が出るようになっている。この水は実は受粉において

意味をもつ。受粉者はハチの一種で、そのハチは雄が雌を誘うために香水を

使うことが知られている。実はその香水をこのランは出しているのである。

雄バチはその香水を集めるためにこの花にやってくる。ハチはまず香水を

集めるためにこの花の表面にとりつくのだが、花の表面はつるつるしていて

滑るようになっている。足を踏み外したハチは、このバケツの中に落ちてしまう。

そこには水が溜まっており、ハチは飛んで逃げることができない。ハチは

その中を泳いでなんとか出口を探すと、1ヶ所だけ登れる場所がある。その先は

トンネル状になっており、そこに雄しべと雌しべがセットされており、ハチの

体に花粉がくっつくようになっている。この奇妙な形も、バケツに溜まる水も

受粉のための合理的な仕組みの現れなのである。植物というのはこういう巧妙な

ことができる生物なのである。