15.04.22 東御苑
エビネ
別名 ジエビネ
ラン科エビネ属
学名 Calanthe discolor
原産地 北海道西南部〜沖縄、朝鮮(済州島)
多年草
最近、園芸品種が静かなブームになっているランの仲間。日本の野生ランの仲間は、マニアの的であり、
その中でも花が美しいものは、園芸目的の盗掘で、絶滅も心配されている。もともとラン自体それほど
繁殖力の強い植物ではないので、そういった採取をされると、あっという間に無くなってしまう。
このエビネも最近のブームのあおりで、自生地は少なくなっている。
しかし、エビネは園芸品種として交配が進んでおり、最近は原種では見られないような配色のものや
ニオイエビネをかけあわせた香りのある品種が生みだされてきて、年々観賞価値も高まってきている。
まだ少々高価だが、一般の園芸店でも並ぶようになった。もう、珍しい原種をもとめて山に入る時期は
過ぎたものと思われる。こうして貴重な原種を人間の手で改良して、誰でもどこでも買えるふつうの花に
してしまえば、交通費と時間をかけて、わざわざ苦労して採取しにいく必要はなくなる。それこそが
自然を保護する1つの手であるようにも思える。
エビネは数あるエビネの仲間でももっとも普通に見られる種で、茶を基調にした渋い色合いの花を咲かす。
性質が丈夫なので、いろいろな原種と掛け合わされ、数々の品種を生みだしている。
花には香りは無いが、ときどきキノコのような匂いのあるものもある。エビネの名は、根茎がエビに似ているので
その名がついたという。変異が多く、その花の色や形は様々で、種間雑種も作りやすい。
他のエビネと混在して生育する地域では、両者の中間雑種が自然に作られる。
例えばキエビネ(C. sieboldii)といっしょの地域ではタカネエビネを生みだし、キリシマエビネ(C. aristulifera)と
の間にはヒゼンエビネができる。ニオイエビネとの間ではコオズ、サルメンエビネとの間ではイシズチなど。
種間雑種が作りやすいのも、品種改良に有利に働く要因である。
野生ランの中では育てやすい部類に入るが、若干ウイルス病に弱いという欠点がある。
ウイルス病はいったんかかると治癒しない病気で、しかも伝染力が強いので、病気になった株は焼却処分にしなければ
いけない恐ろしいものである。アブラムシが媒介するので、病虫害に気をつけ、あつかう道具も殺菌するなどの
注意が必要である。