03.2.14 小石川植物園
フクジュソウ (福寿草)
キンポウゲ科フクジュソウ属
学名 Adonis amurensis
原産地 日本、朝鮮、中国東北部、シベリア東部
多年草
正月に縁起物としてよく売られている花であるが、それは促成栽培したもので、
本来は早春に咲く花である。葉よりも花が先行して開くので、観賞価値が高いのが
喜ばれる。しかし、その後展開する葉や茎は大きく、花の時とはまったく違う姿に
なり、その姿をみてフクジュソウとわかる人は少ない。これは同じような扱いを
されて売られているフキタンポポも似ていて、花の後の葉が異様に大きい。
江戸時代には品種改良が進み、100以上もの品種があったという。
フクジュソウには、アセボトキシンという強心配糖体が含まれており、猛毒である
のは意外に知られていない。薬草の本などにのっている場合があるが、素人は
ぜったいに使用してはならない。死亡事故も起きている。
フクジュソウの花弁は、金属光沢があって、陽を反射して咲くのでとても目立つし、
美しい。実はこの花弁の金属光沢とおわん形の花の形には意味があり、「パラボラ」
の役目をしている。つまり、光沢のある花弁と、半円形の形で、花の中央に陽の光を
集める仕組みになっているのである。それは、早春の寒い気温での工夫であり、
花にやってくる昆虫の活動を盛んにする仕組みでもある。
花の美しさは人のためではない、ということが改めてわかる機能美である。