山地に生える常緑高木で、高さ20メートルにもなるものもある。

材は紅褐色で美しく、彫刻材、家具材として使われる。イチイ（一位）の名は

仁徳天皇がしゃくをこの木で作り、それで正一位を授けたと言われていること

からついているという。オンコという別名は、主に北海道や東北で使われて

いる名である。葉は他の針葉樹のように葉先にとげがなく、痛くない。

東京などで庭木として用いられるのは、変種のキャラボクが多い。キャラボクは

日本海側の多雪地帯に適応した種で、背が低く枝が密である。

雌雄異株で、雌株には赤い丸い果実がつく。この実は甘く食べられるが、中に

ある種子は有毒なので、食べるさいには注意が必要である。

この食べられる部分は他の植物のように子房が膨らんだものではなく、仮種皮が

肥大化したものである。