13.6.6 筑波実験植物園


ジャガイモ

     

別名 バレイショ

ナス科ナス属 

学名 Solanum tuberosum

原産地 中南米

多年草


 アンデスの高地が原産のこの植物は、すでに紀元前500年には

栽培されていたと思われている。インカ文明の重要な栽培植物の1つで

あったといわれ、それが15世紀にやってきたスペイン人によって、

ヨーロッパに紹介された。当初ヨーロッパでは食用として普及しなかったが、

人々の努力によって重要な作物となっていく。アイルランドでは、

ほぼ100%ジャガイモの食事だったが、それがのちに悲劇をうむ。

ジャガイモには致命的な病気があり、それによって大打撃をうけた

アイルランドでは餓死者があいつぎ、それがアメリカへの大移民の

きっかけとなった。日本には天正年間に長崎に伝えられたが、明治になるまで

普及はしなかった。明治以降は栽培が盛んになり、特に北海道は一大名産地となる。

いまでは肉ジャガ、おでん、カレーライス、ポテトサラダ、ポテトチップ、

あるいはハンバーガーにつくフライドポテトと、日本人と切っても切れない

関係にまでなった。今では大きくほくほくと軟らかいジャガイモが主流だが、

原産地のアンデスの高地民族は今でもごく小さい原種に近い品種を育て続けている。 

気候が厳しく、土地もやせている高地でできる野菜として貴重な食料源と

なっている。いったん凍らせて踏み、水分をとばした保存するやりかたなど、

長い歴史を感じる。イモの形も様々で、たくさんの種類がいっしょに栽培されて

いるのがよくわかる。なぜ、大きい一種類で栽培しないかというと、一種類だけ

だと、いったん病気や虫が発生したとき全滅しかねないからだという。 

まさにアイルランドの悲劇を予言したかのような栽培の知恵である。

自分もこの原種のジャガイモが育てて見たくなったが、どこかで手に入らないだろうか?