17.05.03 東京都薬用植物園


ジャーマン・アイリス


  

別名 ドイツアヤメ、ベアデットアイリス 

アヤメ科アヤメ属 

学名 Iris sp.

原産地 栽培種

多年草


 ヨーロッパで主に改良され、生み出された数々の品種群の総称で、主に

ドイツアヤメ(I. germanica)という自然交雑種を中心に交配された品種をさす。

ドイツアヤメは原産地や起源が不明という謎の種だが、それだけ栽培の歴史が長い

ということでもある。そのドイツアヤメに、パリダ種(I. pallida)、バリエガタ種

(I. variegata)、シプリアナ種(I. cypriana)、メソポタミカ種(I. mesopotamica)、

トロヤナ種(I. trojana)、カシュメリアナ種(I. kashmiriana)などの原種が交配

され、現在の品種群が生まれている。本格的に改良が始まったのは1800年代で、

以来現在にいたるまで数えきれないほどの品種が作られている。

 ジャーマン・アイリスの魅力はその花色の豊富さと、香りである。花色で無い

ものは赤だけだと言われている。ワインレッドの品種はあるが、完全に鮮やかな

赤色の品種はまだできていない。そのかわり、アヤメ類の特徴の紫系の色は

鮮やかで、複色の対比もすばらしい。青系統の花も続々登場していて、かなり

赤みのぬけた青色も出ている。完全なセルリアンブルーの花が出るのも近いかも

しれない。ジャーマン・アイリスの改良に特に力を入れていたのはダイクスで、

現在はその功績を讚えて「ダイクスメダル」という賞がつくられている。

 残念ながら、日本の気候、特に太平洋岸の高温多湿の気候にはあわずに、栽培には

工夫が必要である。日本向けの品種ができると、もっと普及すると思われる。