16.04.20 小石川植物園

06.4.18 小石川植物園


カントウタンポポ (関東蒲公英)

  

  

キク科タンポポ属

学名 Taraxacum platycarpum

原産地 関東地方、中部地方東部

多年草


どこにでもあるタンポポのようだが、実は都内では希少な存在になりつつあるタンポポである。

ふだんよく目にするタンポポは、セイヨウタンポポといって、ヨーロッパ原産の外来種である。

工事などで裸地になったところへ、最初に入り込むタンポポはほぼ100%このセイヨウタンポポと

いっても過言ではない。なぜこれほどまでセイヨウタンポポが優位になったのかというと、

要因はいろいろあるだろうが、日本在来のタンポポが他の株との受粉によってしか種子を作れない

のに比べ、セイヨウタンポポは自分の花粉で受粉できる自家受粉のよるものが大きいと思われる。

ある程度の株数がないと種子を作れないのと、単独でも種子生産ができるのとでは、たえず人による

土地の掘り返しがおこる都会では、後者のほうが有利に働くのは予想できる。

一時、セイヨウタンポポの繁殖があまりに目に見えて激しいので、あたかもセイヨウタンポポが

日本在来のタンポポを追い出したかに言われた時がある。これはまったくの誤解で、

セイヨウタンポポには日本在来のタンポポを枯らしたり弱らしたりする力は無い。

これは同じ鉢に両者を植えて、実験した結果により確認されている。

セイヨウタンポポが蔓延したのは、人による土地のかく乱によるものである。


ちなみにカントウタンポポとセイヨウタンポポの見分け方は、花の総苞片というがく片のような緑色の部分を

見ればわかる。総苞片が反り返らないのがカントウタンポポで、反り返るのがセイヨウタンポポ。

現在は両者の雑種などもあるそうで、それだけでは厳密には見分けられないそうなのだが、厳密な部分は

専門家にまかせたほうがよいようである。

写真のカントウタンポポは、小石川植物園で撮ったものであるが、ここは都内でも珍しい、カントウタンポポの

群落が見られるところである。しかし、園に来る人はほとんど見向きもしないのは残念である。