03.5.13 都立薬用植物園

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ケシ (芥子、罌粟)     

     

ケシ科ケシ属 

学名 Papaver somniferum

原産地 地中海沿岸

一年草


人類の歴史とともにあった植物である。 ギリシャのクレタ島にあるイラクリオン

考古学博物館にはミノア文明(前3500〜1500年)のものと見られる「ケシの女神像」がある。

ケシは神からの贈り物として神格化されていたことをあらわしている。 人々が食べる野菜や

穀物としての植物の他に、人の精神に働きかけるこのような植物が、古代から知られていたと

いうことは興味深い。 人はかくも精神的な生き物であったということを物語る。

痛みを和らげる薬として優れた効用をしめす植物だが、その成分は常用性があり、いわゆる

麻薬中毒を起こす。 そのため、中毒による悲劇もまた繰り返されてきた。

中国は清朝の時代のアヘン戦争は歴史的に有名な事件で、それ以来、アヘンは人だけでなく、

国をも蝕むおそろしい毒という認識が定着した。

人を救う奇跡の薬から、人を溺れさせ、苦しませる犯罪的なものへと変貌してしまった。 

現在の麻薬取り締まりはその教訓から発している。

しかし、現在の医学ではその危険性を取り除いた使い方が発明され、鎮痛薬として広く用いられ

ている。 ケシの栽培は日本では法律によって厳重に管理されていて、一般人が育てれば逮捕

されてしまう。 しかし、八重咲きの品種は麻薬量も少なく、欧米では観賞用として育てられる。

見てわかる通り、観賞用としてもとても素晴らしい花である。 花好きなら誰でも育てたくなる

花ではないだろうか? 日本ももうちょっと規制を緩めてなんとか栽培できるようにしてほしい

ものである。