17.05.10 小石川植物園


クスノキ (楠)


     

クスノキ科クスノキ属 

学名 Cinnamomum camphora

原産地 本州(関東地方南部以西)、四国、九州、朝鮮(済州島)

常緑高木


 この木は日本を代表する巨樹である。堂々とした巨体は、日本古来からの信仰の対象でもあった。

日本一の幹の太さを持つ木であるが、それだけではなく、太い枝を横に大きく広げる姿は、空を覆い尽くし、

その株もとに立ち見上げる人間を感嘆させる。

全体に香りを持ち、その材からは虫除の樟脳(しょうのう)が採れる。その材は同時に腐りにくく、昔は船の材料だった。

ヒノキの前はこのクスノキで仏像が作られたのもある。暖かい地方の樹木で、九州などに天然記念物に

なるような巨樹が多いが、東京でも街路樹などに最近はよく使われる。

成長が遅い木で、「楠木学問」という言葉がある。これは、学びが遅くて、すぐに結果が出なくてもあきらめずに

続けてやればいつか誰にも負けない大きな樹になるということを表している。

その逆が「梅の木学問」で、スタートダッシュが早く、早々に実をつけ結果をだすが、尻つぼみで、後にたいした

出世をしないというものである。商売に関しては「楠木分限」「梅の木分限」という言葉もある。

虫除の樟脳を採るくらいだから、害虫はめったにつかない。それが都市の木としても適したところだが、

アオスジアゲハは食草にする。この木が東京に増えたことで、アオスジアゲハも見る機会が増えた。

木は大きくなるが、花は本当に小さい。満開でもそれほど目立たない。このアンバランスさも面白さを感じる。