17.07.05 北大植物園


ミヤコワスレ (都忘れ)


     

キク科ミヤマヨメナ属 

学名 Miyamayomena savatieri cv.

原産地 栽培種

多年草


 原種は山野に自生するミヤマヨメナで、本州と九州に分布している。

ミヤマヨメナを見ると、ミヤコワスレとほとんど差違がなく、品種改良されているとはいえ、

それほど変わっていないことがわかる。豪華さより野趣を楽しむ花である。

ミヤコワスレの名の起源は13世紀、鎌倉時代の初期にさかのぼる。

後鳥羽院と共に承久の変をおこした順徳院は倒幕に失敗、佐渡に流される。 

そこで都を思い淋しい日々を送っていたころ、庭に咲く一輪の白いキクに目を留めた。 

その花をみてなぐさめられた院は、都のことばかり恋しがっていた自分だが、この花を

見ると自然に都のことが忘れられるようだ、と言ったという。

この話は雨のそぼふる秋のことだと言われているので、果たしてこの花が今のミヤコワスレを

さすものかどうかは謎である。

順徳院はその後、同地で46歳という年齢で崩御している。絶食による自殺であるといわれている。

園芸植物として記載があるのは1805年(文化2)からである。

紫色の濃いものが一般的だが、藤色、桃色、白色などの品種ある。

半日陰で、夏の高温多湿を避ければ比較的丈夫で育てやすい植物である。