04.6.19 国営武蔵丘陵森林公園


ネジバナ (捩花)

     

     

別名 モジズリ、コマチラン

ラン科ネジバナ属 

学名 Spiranthes sinensis

原産地 北海道〜九州、樺太、千島、ウスリー、朝鮮、中国(中部、東北部)、

   ヒマラヤ

多年草


日当たりのよい草地に生えるランの仲間。 花が小さいのでこれがランの一種だとは

普通の人は気づかないみたいである。

花はらせん状につき、名前もそれから来ている。 コマチラン(小町蘭)というのは

このネジバナの園芸種のことをさし、葉に斑入りの変化のあるものを呼んでいる。

最近人気が出てきたもので、様々な斑入りの芸があり、多彩である。

ラン科の植物は世界全国に2万5千種以上あると言われ、キク科と並ぶ巨大な科で

あるが、日本ではあまり馴染みがない。

それというのも、キク科は雑草として空き地があれば必ず生えてくるが、ラン科の

植物は人里離れた山の中でひっそり咲くものが多いからである。 

環境の変化に弱いものも多く、以前は里の近くでふつうに見られたものでも、開発で

姿を消す場合が多い。 花が美しいものは園芸目的で乱獲されることもある。

その中にあって、このネジバナは唯一といっていい都会で暮らすランであり、そうい

う意味ではたいへん珍しい種である。

芝地など、定期的に刈られる場所によく生えていて、裸の土地には生えない。 

これはやはり発芽条件にある種の土壌菌が必要だからだろう。 

ネジバナの繁殖を見ると、必要とする菌は街にわりあい多い菌なのだろう。

ネジバナの花は右回り、左回りのらせんを描くが、中には1方向だけにつけるのも

あり様々である。

花色の変化は少なく、白色などがたまにあるくらいである。

ふつうに生えているので、栽培は容易だろうと思われるが、実は案外育てにくく、

2〜3年で消滅してしまうものが多い。

そして他の鉢などでいつのまにか新株が育っていたりする。 たぶん、多年草的性質

が弱く、一年草に近い生活サイクルなのだろう。 そのかわりランのわりに種子の

繁殖率がいいのだ。 その性質も都会的である。