16.05.05 東京都薬用植物園


シラン (紫蘭)    

 

ラン科シラン属 

学名 Bletilla striata

原産地 本州中南部〜沖縄、中国、台湾

多年草


 おそらくラン科の植物の中でもっとも強健で育てやすい種だと思われる。

ランの仲間は特殊な環境を好むものが多く、やや変わった育て方をするが、このシランだけは他の植物同様、

花壇などに普通に植えることができる。一度植えると良く育ち、どんどん増えて、あっという間に見事な群生となる。

花つきもよく、たいした管理無しで毎年美しい、濃い紅紫色の花を楽しむことができる。

ランの栽培の中でもっとも初心者向きの種だが、栽培が簡単すぎるのと、増えすぎるのとで、かえって面白みはないかも。

根茎は漢方で「白及(びゃっきゅう)」といい、胃の薬になるという。

美しい花だが一日花で、他のランと違い花の寿命が短いのが残念である。

白花、口紅、斑入りなどの品種があるが、少ない。これほど育てやすく美しいのに園芸品種が少ないのは不思議である。

江戸時代から知られる植物なのに、園芸品種は少ないのは、その丈夫さゆえに遺伝的に安定すぎるのだろうか。

さいきん、その性質が認められたのか、藤紫色の種などができはじめている。まだまだこれから品種を増やして欲しい

ランである。