16.05.18 北大植物園

07.3.14 神代植物園


チューリップ  

     

 

ユリ科チューリップ属 

学名 Tulipa sp.

原産地 栽培種

多年草


 日本の、春の花壇を代表する球根植物。歌にもうたわれ、子どもが一番最初に

覚える花の一つだろうと思われる。もともとはアフガニスタンなどの小アジア原産。 

ヨーロッパに16世紀に伝わって、後に爆発的なブームとなる。

園芸植物の歴史の中で、有名なのが1634年から37年にかけてオランダでおこった

「チューリップ狂時代」である。投機の対象となったチューリップの球根が高値に

高値を呼び、ものすごい値段で取引された。あまりの熱狂ぶりにオランダ政府が

売買禁止令を出し、ようやく落ち着いたという。

現在でも珍奇な種類が、マニア同士の間で異様な高値をよぶ場合がある。園芸植物には

昔から人を狂わす魔力があるのだろうか?そんな珍しい植物だったチューリップも、

品種改良が進み、大量生産がおこなわれ、すっかり安値の花になり、庶民の花壇を

にぎわすようになる。今やチューリップは全世界の花になったといっても過言ではない。 

第二次世界大戦時、ドイツに占領されたオランダは、チューリップの球根を食料として

飢えをしのいだという。しかし、その間にも品種改良は続けられていたというから驚きである。

チューリップの生産地としてはなんといってもオランダが有名だが、日本でも富山県や、

新潟県で生産が行われている。日本の気候にあった国産の改良種も出始めている。

途絶えてしまった古い品種も合わせれば8000種以上もあると言われるチューリップだが、

今もなお続々と新品種がつくられている。この花が花壇から消えることは今後ともない

だろうとおもわれる。チューリップが花壇の主役として扱われる理由は幾つかあると思われる。

まず、その大きく、鮮やかな原色の花である。花弁の表面がビロードのようになっており、

日差しを浴びてぎらぎらと輝く。八重咲きも豪華だが、この特徴は、大輪の一重の花のほうが

際立つように思える。花色は鮮やかだが、花のシルエットはシンプルなので、一つでは場が

もたない。やはり群植してこそ、その威力が発揮される。

もう一つの理由は、その育て方のやさしさ。これは、当然で、秋に植える球根の中に、すでに

来年の葉と花がセットされているからである。土に植えれば、後は極端な話、水をやるだけで

咲かせることができる。これが、子どもなどでも栽培できて、学校などにも多い理由である。

花の咲いた後、葉が枯れたときに掘りだすと、新しい球根が地下にできている。

しかし、その球根は以前のものより小さくなっており、来年また咲かせるのは難しい。

これは、やはり改良の中心がヨーロッパであるため、日本の夏の暑さに対応していない種類

だからである。次の年も咲かせたければ、原種に近い丈夫な品種を育てるとよい。

ちなみに写真上は北海道で撮影したリューリップだが、東京で見るものと違う点がわかるだろうか?