09.04.02 小石川植物園

16.03.27 野川公園


ソメイヨシノ (染井吉野)

     

バラ科サクラ属 

学名 Cerasus x yedoensis (= Prumus x yedoensis )

原産地 栽培種

落葉小高木


 おそらく、日本で一番多く植えられているサクラである。日本の

慣習的な国花はサクラであるから、まさに日本の象徴的な花である

といえる。しかしソメイヨシノ自体の歴史は案外新しく、明治に

なってからの花である。花見自体は歴史が古いものだが、江戸時代

までの花見はヤマザクラが主役だったと思われる。

ソメイヨシノは江戸時代末期、東京の染井村(現在の豊島区)で

「吉野桜」として売られていたものが起源と言われている。しかし

実際の吉野のサクラはヤマザクラであることから、混同を避けるため

に1900年にソメイヨシノ(染井吉野)と名付けられた。野生種か、

園芸種かは議論があったが、3倍体で種子ができないことなどから

園芸種であることが、定説になっている。親はオオシマザクラと

エドヒガンであることが遺伝子を調べて判明したというが、未だ

謎のある花と言える。花の大きさはオオシマザクラ、展葉前の開花は

エドヒガンの性質をそれぞれ受け継いでいるようである。

種子ができないので接ぎ木で増やされる。ソメイヨシノの優れている

点は、成長の早さと花付きの良さである。全てが同じ株からの接ぎ木

による繁殖株なため、花がいっせいにそろって咲くという利点もある。 

 同じ遺伝子をもつ株なため、以前は気象庁のサクラ前線の目安に

使われていた。欠点は樹の寿命が短いことと言われている。だいたい

60年から80年で枯れてしまうことが多いらしい。しかし、それも管理

次第らしく、青森県の弘前市には100年以上の株があるという。

 東京のサクラの名所の上野公園などもそろそろ樹の老齢化が目立って

きている。将来的に花見の名所が無くならないためにも、管理面での

改良が望まれている。世界的に見ても、優れた花であるため大切に

残したいものである。