04.9.23 日光植物園
ススキ (薄)
別名 オバナ、カヤ、ヤマガヤ
イネ科ススキ属
学名 Miscanthus sinensis
原産地 北海道〜沖縄、朝鮮、中国
多年草
日本古来から親しまれている植物で、野原に普通に見られる。
しばしば群生し、ススキの原になった風景は日本を象徴する風景である。
しかし、最近は北アメリカなどに帰化して、外国でもその風景が見られるらしい。
昔から茅葺き屋根の材料として利用され、ススキの原は「茅場」として大切に
保存されていて、今でもその跡を見ることができる。 「カヤ」というのは
茅葺きに使うイネ科の材料の総称で、ススキの他にチガヤ、ヨシなどもカヤと
呼ばれる。 ススキはその中ではヤマガヤという呼び名で言われているらしい。
オバナ(尾花)という別名は、風になびく穂を動物の尾に見立てたもので、
山上憶良が詠んだ「秋の七草」にも出てくる呼び名である。
ことわざに「幽霊の正体みたり枯れ尾花」というのがある。 こわいこわいと
思っているとススキの穂でさえ幽霊に見えるというものであるが、背の高さも
人の高さくらいなので、なるほどと思える。
お月見に、だんごとともに添える植物であり、中国や韓国でも同じような習慣
があるという。 ただし中国では月餅、韓国では松餅(ソンピョン)というお菓子
を使うらしい。
ススキと良く似た植物で川原などに群生するものにオギがあるが、
オギのほうがやや大型で、ススキのように株立ちにならないのが特徴である。
ススキには葉に斑が入った品種や、歯が細く小型のイトススキなどの品種が
あり、観賞用に栽培される。 イトススキはよくナンバンギセルを寄生させて
栽培されるのに使われる。 いずれにしても葉の縁にガラス質の歯があり、手を
切ることがあるので、注意が必要である。
現在日本は、都市が西洋化するにしたがって、外国産の帰化植物がはばをきか
せるようになり、日本古来の風景が失われつつあるが、このススキはそんな帰化
植物にも負けず旺盛な繁殖力をいまだに見せつけている。 愛すべき野草として
これからも大切にしていきたいものである。